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VOL.142 2024/8/19 【企業間でのカスタマーハラスメント問題】


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vol.142本号の内容

2024年8月19日

  • 企業間でのカスタマーハラスメント問題

名古屋総合法律事務所
弁護士 杉浦恵一

企業間でのカスタマーハラスメント問題


はじめに

近年、労働力減少などの問題や情報技術の進展など複合的な要因により、カスタマーハラスメントが大きな問題になっています。
カスタマーハラスメントとは、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルでは、「顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為」とされています。

東京都では、カスタマーハラスメントを「就業者に対する暴言や正当な理由がない過度な要求などの不当な行為で就業環境を害するもの」として定義し、条例でカスタマーハラスメントを防止する動きが出ているようです。
ここでの顧客とは、従来は一般的な消費者が想定されていたと思われます。
これまでも、一般的には店舗にやってきたり、企業に電話をかけてきたりする一般的な消費者を想定していたようです。

企業間でのカスタマーハラスメント

しかし、一般消費者からのカスタマーハラスメントではなく、最近では企業間でのカスタマーハラスメントが注目されてきています。
令和6年7月1日の日本経済新聞の記事に、企業間でのカスタマーハラスメントが問題になってきているというものがありました。
「カスタマー」とは一般的に「顧客・取引先」といった意味ですので、企業間でも取引があり顧客の関係にある場合には、カスタマーハラスメントになり得ます。

この記事では、ある企業が、自社の従業員が取引先からカスタマーハラスメント(2時間にわたり取引先の社長から罵声を浴びせられた)を受けたことで業務遂行権が侵害されたということで、1100万円の損害賠償を請求する民事訴訟を起こした、ということでした。
なお同記事では、実際に取引先からのカスハラを不法行為と認めた裁判が挙げられており、職員が取引際の担当者にカッターナイフをちらつかせながら値引きを迫り、カッターなどで暴行を加えた行為があったことで、職員の雇用者の使用者責任が認められた例があるようです。

この企業間のカスタマーハラスメントは、複数の関係者が出てきますので、その関係ごとに整理する必要があるでしょう。

1 企業間の関係

企業間の関係では、例えばカスタマーハラスメントにより不当な取引(不当な値引き等)をさせられた場合の差額の損害賠償の問題や、従業員が退職してしまった場合の損害賠償といった金銭的に評価できる問題があります。
また、そのようなカスタマーハラスメント問題が発生した企業との取引を継続するかどうかという問題もありますが、実際のところは、企業間の力関係などで問題が解決しない可能性も考えられます。

2 カスハラを受けた社員と雇用先企業との関係

従業員と雇用している企業とその社員との間には、雇用契約によって安全配慮義務があります。企業が安全配慮義務を果たさないときには、社員から損害賠償請求を受ける可能性があります。
例えば、社員が取引先からカスタマーハラスメントを受けていて、そのことを勤務先に報告したにもかかわらず、会社が特に何の対応もとらなかったような場合には、社員から会社に慰謝料などが請求される場合もありますし、それが原因でうつ病などになった場合には労働災害の問題になることも考えられます。

おわりに

企業の間では、取引の条件(金額や納期など)を巡って交渉がなされることが多く、従来では一部のカスタマーハラスメントとも言い得る行為も交渉の範囲内として許容されていた側面があったかもしれません。
従来から、暴行や脅迫など刑事上の犯罪になるような行為は認められいないことは当然ですが、それに当たらないような交渉であっても、その程度・方法・態様によっては、企業間のカスタマーハラスメントとして問題となる場合が出てくるのではないかと思われます。


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