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2022年3月28日
税理士法人名古屋総合パートナーズ
令和3年度税制改正の中で見直された改正電子帳簿保存法が今年1月に施行されました。
コロナ禍の影響でテレワークの推進やデジタル化の必要性がこれまで以上に高まり、電子保存・電子取引にかかる法整備も一気に加速した感があります。
電子帳簿保存法は、各税法で原則として紙ベースで保存が義務付けられている帳簿書類について、一定の要件を満たすことを前提に電子データで保存することなどを認めること、および電子的に授受した取引情報の保存義務などを定めた法律で、大きく(1)電子帳簿等保存制度、(2)スキャナ保存制度、(3)電子取引制度、の3つに区分され規定されています。
この度の改正でこれらの制度それぞれにおいて大きく見直しが図られています。
今回のメールマガジンではこれら3つの制度の具体的内容と改正事項をご説明したいと思います。
これは、会計ソフトなどで電子的に作成した帳簿(仕訳帳、総勘定元帳など)や国税関連書類(決算書、棚卸表など)を電子データのまま保存することを認める制度です。
これまでは、これらを電子データとして保存するためには事前に管轄の税務署に申請書を提出して承認を受ける必要があり、この煩雑さから、電子保存も広くは進みませんでした。
この度の改正により、この事前承認制度が廃止され、出力して紙ベースで別に保存しておく必要は事実上なくなりました。ただこれは今年1月以降に備付けを開始する帳簿や書類について適用されるもので、これまでの事業年度のものは引き続き紙ベースでの保存が求められます。
これは、紙ベースで作成ないし受領した書類をスキャンないし撮影し、画像等の電子データで保存することを認める制度です。
こちらもこの度の改正により、(1)と同様に税務署長の事前承認は不要とされました。また、相互牽制や定期検査などの仕組みを定めた社内規程を整備する必要もなくなりました。
ただタイムスタンプの付与に関しては引き続き要件として求められます。タイムスタンプとは、具体的には、領収書等のスキャンデータに対して第三者機関(時刻認証業務認定事業者)が電子的にスタンプを付与し、その情報を調べることにより、その領収書等がその時刻に存在し、その後改ざんされていないことが証明できる仕組みです。実務上はこのタイムスタンプ付与に対応している経費精算ソフトなどを利用するケースが多いかと思います。
タイムスタンプ要件はなくならなかったものの、今回の改正で要件を緩和する方向に見直しが図られました。具体的には、①タイムスタンプの付与期間が最長2ヶ月と概ね7営業日以内とされたこと、②受領者の書類への自署が不要となったこと、などが挙げられます。また合わせて検索要件も緩和されました。
これは、電子メールやインターネット上からのダウンロード等、電子的な手段で授受した請求書などの取引情報を電子データで保存することを義務付ける制度です。
こちらも(2)と同様のタイムスタンプ要件と検索要件の緩和が図られ、改善点も見られるのですが、一方で電子取引の取引情報にかかる電子データを紙に出力した書面をもって保存すること(その上で電子データを削除すること)ができる措置が廃止となり、電子データ自体を保存する義務が明確になりました。紙ベースのみでの保存ができなくなったということですので気を付ける必要があります。
ただ、令和4年度税制改正の中で、電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕規定として、一定の要件のもと、令和5年12月31日までは出力した書面での保存が認められることとなりました。
上記の他にも、改正電子帳簿保存法では、「優良な電子帳簿」の要件を満たした場合の過少申告加算税の軽減措置や、逆にスキャナ保存にかかる不正があった場合の重加算税の加重措置なども整備されています。
今後の経理業務上、負担軽減につながる事項と、注意しなければならない事項とが混在している改正ですので、関係する方は詳細をご確認いただければと思います。
次のようなご心配事がある場合は、名古屋総合リーガルグループがお役に立てますので、ぜひお電話ください。
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