代表弁護士 浅野 了一
個人商店型法律事務所から、企業型法律事務所へ「株主名簿を閲覧させろ」との請求を受けたときの対応
代表弁護士 浅野 了一
名古屋総合法律事務所グループの司法書士が愛知県司法書士会の会員研修会に出席して参りました。
「監査役の監査の範囲に関する登記」について、解りやすいレポートをまとめましたので、ご紹介させていただきます。
今回は、「合同会社を中心とした法人全般の比較」をテーマに、京都司法書士会の内藤卓先生が講義をしてくださいました。会社法改正法案の概要が説明されました。その中の登記に関する事項を取り上げたいと思います。
登記に関する事項としては、「監査役の監査の範囲に関する登記」について挙げられていました。 (会社法改正法案第911条3項17号)
会社登記の「監査役設置会社に関する事項」欄に、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社について、当該定款の定めを登記事項として追加することとなります。
現行の登記制度では、監査役設置会社である旨だけが登記事項となっており、監査役の監査の範囲が会計監査に限定されているかどうかは登記簿だけでは判明せず、定款を確認する必要があります。
会社法上、監査役の権限の範囲により取り扱いに差違がある場合もあるため(例:会社が取締役に対して訴えを提起する場合、監査役のいる会社では監査役が会社を代表するが、会計監査限定の監査役を置く会社の場合、代表取締役が会社を代表することとなる)、登記簿を見るだけで監査役の権限の範囲がわかるようになれば、会社の役員、株主、関係者にとってメリットとなります。
しかし、一方で、登記事項が追加されることにより、該当する会社にとっては、登録免許税の負担が増えるという面もあります。
監査の範囲を会計に関するものに限定する監査役は、中小企業にとって身近な存在です。
そのため、「法案施行後最初に監査役が就任又は退任するまでは、第911条3項17号イに掲げる登記は先送り可能」とする経過措置が予定され、登録免許税の負担を念頭に置いた配慮がされています。
今回の研修は、これまでの研修に増して多くの司法書士会員が参加していました。 とても参考になる内容で、充実した3時間でした。