取締役の責任は、⑴ 会社に対する責任、⑵ 第三者に対する責任の2つに大別されます。
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当職の友人や知人で、会社の(代表)取締役に就任されている方が何名もおられます。
取締役就任の経緯は各人様々で、例えば「自分で起業した」「親からそのまま引き継いだ」等ありますが、どのような経緯であれ取締役の地位に就く以上は、法的責任を伴うこととなります。
このことを認識されないまま取締役に就任した結果、後日、過大な責任追及を受けるリスクもありますので、取締役に就任される際は、その責任についてよく理解しておく必要があります。
取締役の責任は、⑴ 会社に対する責任、⑵ 第三者に対する責任の2つに大別されます。
会社法423条1項は、取締役の会社に対する責任として、以下のとおり定めます。
『取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。』
このとおり、取締役は、任務懈怠に基づき生じた損害を「株式会社に対して」負担することとされております。 この点、取締役に多大なる責任を負わせる結果、業務の執行を萎縮されるリスクがあるとの批判があり、平成13年の会社法改正にて、会社に対する責任の一部免除制度が導入されておりますが、それでも過大な損害賠償責任を追及されるリスクは当然あります。
なお、この責任を追及する方法は、監査役等会社の機関が取締役を訴えを提起する他、株主による代表訴訟提起が認められております。
会社法429条第1項は取締役の第三者に対する責任として、以下のとおり定めます。
『役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。』
なお、同条でいう第三者とは、一般的に債権者や株主であるといわれております。
このとおり、取締役に就任すると、自分の会社、さらに債権者や株主等、自分と利害を持つ様々な方に対して損害を賠償する責任を負いますので、十分な注意が必要です。
また、このような責任を避けるべく様々な方策を事前に採っておくことが極めて重要となります。