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70歳までの就労機会確保が努力義務に

超高齢化社会への加速を受けて

 総務省統計局が発表した2019年9月15日現在の我が国の人口推計において、総人口は前年比26万人減少している一方、65歳以上の高齢者は前年比35万人増加、総人口に占める65歳以上の人口割合は28.4%と、過去最高となったとのことです。

 このような超高齢化社会への加速を受け、意欲のある人が長く働ける環境の整備が急がれています。

再雇用

高年齢者雇用安定法などの改正案

 この度政府は、70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする高年齢者雇用安定法などの改正案を閣議決定しました。現行法では、希望者全員を65歳まで雇うよう義務付けており、企業には、

  1. ① 定年廃止
  2. ② 定年延長
  3. ③ 再雇用制度

 の3つの選択肢があります。

 今回の改正案においては、65歳以降の選択肢として

  1. ① 定年廃止
  2. ② 70歳までの雇用延長
  3. ③ 継続雇用導入

 という、これまでの3つの選択肢のほかに、

  1. ④ 別の会社への再就職
  2. ⑤ フリーランス契約への資金提供
  3. ⑥ 起業支援
  4. ⑦ 社会貢献活動参加への資金提供

 の4つを加え、合計7つの選択肢を認めるとのことです。

 つまり、現行の「定年延長」や「再雇用」だけでなく、それまで雇用してきた従業員が、フリーランスになったり起業した場合、業務委託で報酬を払う選択肢も認めるということになります。

 このような超高齢化社会への加速を受け、意欲のある人が長く働ける環境の整備が急がれています。

 高齢になるほど、健康状態の個人差が大きいことを配慮し、企業側の負担を考慮して、新たな4つの選択肢を加えることとなったとのことです。

この改正案、今国会で成立すれば2021年4月にも適用する見通しです。

改正法案の影響

 この改正法案は、あくまで努力義務となっていますが、将来的には老齢年金支給開始年齢の引き上げも見据え、70歳までの雇用が義務化されることも考えられます。

 また、65歳以降も何らかの形で雇用を継続することで、企業にとっては人件費の増加につながることが予想され、その増加分をどのように賄うのかが課題となるでしょう。

 このような動きを受け、60歳到達前に社員の早期退職を実施するような動きも、今後さらに増えていくかもしれません。

 45歳以上の従業員を対象とした早期退職募集、いわゆるバブル大量採用組のリストラも増えているようです。

まとめ

 自社のニーズに合った人材の確保が、質、量の両面において困難な状況はこれからも続いていくことが予想されます。

 長期的な視野で、事業所内の労務管理、人材育成について計画していくことが重要です。

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