これまで3回にわたり、契約書を作成するメリットをお伝えしてまいりましたが、今回が最終回となります。
契約書作成の3つ目のメリットは、
【当事者(担当者)の変更における契約履行の円滑化】です。
企業が取引を行っている場合、当該取引の担当者はいつか変わります。
(例えば、担当者の異動や退職、死去等に伴う変更が考えられます。)
当該取引に関する契約書が存在していれば、次の担当者はその契約書を確認することによって、
取引の内容を速やかに把握し、引き続き円滑に取引を行うことが可能でしょう。
他方、契約書が存在しないとなると、
次の担当者は取引の事情が把握できず、非常に困ってしまいます。
意外と見落としがちな問題点ではありますが、
実はこのようなトラブルはとても多いです。
(私も、依頼者様から、
「契約書がないので、当時の事情が全然分からない。
当時の担当者とは連絡がつかないし、当時の事情を把握する術がない。
一体どうしたらよいのか。」との発言はよく耳にしてきました。)
また、コンプライアンスの観点から見ても、
「特定の人(担当者)しか取引の事情が分からない」
という状況は好ましくありません。
それでは、
「単に契約書を作成すればよいのか」というと・・・
そういうわけでもありません。
「取引の事情が分かるようにする」ためには、
その内容を明確化し、解釈の余地を少なくしておくための工夫が必要となります。
(これは、Vol.6「契約書のメリット1」で述べたことにも関係します。)
これらの対処をしておけば、取引の担当者の変更があっても、
何ら問題なく取引を継続させられるでしょう。