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弁護士法人 名古屋総合法律事務所
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vol.49 本号の内容
- 家屋が壊れたことにより家主に生じる責任
- 編集後記
■家屋が壊れたことにより家主に生じる責任
今般、熊本を震源地とする大地震が発生し、多くの方が亡くなられたとの報道がなされています。
亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
さて、この大地震により学生寮が倒壊し、救助活動が行われているとの報道も記憶に新しいところかと思います。
日本は地震が多く発生する国ですので、いつ・どこで大地震が発生するか分かりません。そうすると、いつ・どこで同じように建物が倒壊するか分からない、ということになります。
このような大地震で建物が倒壊すれば、当然、その被害に遭われる方が発生することも想定されるところです。
このような災害を原因とする建物倒壊は、簡単には予見することはできませんが、家主に法的責任は生じないのでしょうか。
地震は自然現象ですので、地震が発生すること自体の責任は誰にもありません。しかし、建物の建築・所有をする場合には、一定の責任が生じる場合があります。
民法第717条では、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」とされています。
そのため、仮に大地震を原因として建物が倒壊したとしても、建物の設置・保存に瑕疵、つまり何らかの欠陥がある場合には、建物の所有者は、他人に生じた損害を賠償しなければならない場合が考えられます。
また、建物を賃貸している場合には、賃貸人には、借主が建物を使用収益させなければなりません。そして、この使用収益には、通常有する安全性を備えた建物を使用させる、という前提があると考えられます。
そのため、民法第717条に基づく責任だけでなく、賃貸している場合には、賃貸借契約に基づく賠償責任(債務不履行責任)を問われる可能性も考えられます。
具体的な例として、阪神淡路大震災のときに、建物の所有者の責任が問われた裁判例があります。
神戸地方裁判所の平成11年9月20日判決は、地震によりマンションの1階部分が倒壊したため、そこで亡くなった方の遺族が、そのマンションンに欠陥があったとして建物所有者に損害賠償を求めて提訴された事案です。
この裁判例では、判決において、建築当時の時点で通常であれば有すべき安全性を備えていなかったとして、建物の設置の瑕疵が認められ、損害賠償が命じられています。
ただし、特徴的な点として、大地震という想定外の自然の力も競合した結果として建物が倒壊していることを考慮し、自然の力が損害を発生させたという割合を5割と考えて、賠償責任も損害の5割に限定されています。
このように、過去の裁判例では、大地震による建物の倒壊でも、建物の設置に瑕疵がある場合には、賠償責任が認められた例がありますので、想定外の自信でも、建物を所有している方は、事前に耐震性を診断するとった準備が必要になってくるでしょう。
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編集後記
早いもので4月も終わろうとしております。
世間的には新学期、新年度を迎えてドタバタとしているのかもしれませんが、弊所は新人弁護士の入所が12月なので、ようやく所内が落ちついて来た時期なのです。
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
さて、もうすぐゴールデンウィークということで、所内でもちらほらそのような話題が出ております。
今年は月曜日と金曜日が平日ですので、遠出は難しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方にはぜひ、近場にでかけてもらいたいです。
意外に近くにもまだまだ知らない場所は多く存在しているものです。
私もつい先日、家の近くに立派な古墳があることを知りました。
まだ存在を知っただけで、行けてはいませんが、休日に行こうと思っております。
今月は暑くなったり、寒くなったり、変わりやすい時期ですので、お体に気をつけて日々お過ごしください。
中野