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弁護士法人 名古屋総合法律事務所
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vol.33 本号の内容
- いわゆるマタハラ訴訟について
- 編集後記
■いわゆるマタハラ(マタニティハラスメント)訴訟について
少し前の話になりますが、昨年10月23日、女性労働者が妊娠中の軽易な業務への転換を契機として副主任の地位を免ぜられたことの有効性が争われた裁判の最高裁判決が出ました。
いわゆる「マタハラ訴訟」としてマスコミでも報じられたことから、ご記憶にある方も多いかと思います。
最高裁の判決は?
最高裁は、女性労働者につき妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させることは、原則として雇用機会均等法9条3項の禁止する取扱いに当たるとしたうえで、
①当該労働者が自由な意思に基づいて降格を承諾したと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、
又は、
②降格の措置を執ることなく軽易業務への転換をさせることに業務上の必要性から支障がある場合であって、
その業務上の必要性の内容や程度等の諸事情に照らし、上記措置が雇用機会均等法9条3項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するとき、には、例外的に、雇用機会均等法9条3項の禁止する取扱いに該当しないと判断しました。
そして、①については、労働者が降格措置による影響につき事業主から適切な説明を受けて十分に理解した上で諾否を決定し得たか否かという観点から合理的な理由の存否を判断すべきとしています。
また、②については、
- 転換後の業務の性質や内容
- 転換後の職場の組織や業務体制及び人員配置の状況
- 当該労働者の知識・経験等
を勘案するとともに、上記措置に係る経緯や労働者の意向等をも勘案して、特段の事情の存否を判断すべきとしています。
まとめ
この判例は、妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させる場合に、使用者に対して、個別具体的な事案に応じた精緻な判断を要求したものといえるでしょう。
特に、使用者としては、労働者の同意が得られるのであれば降格しても良いのではないかと思われるところだと思います。しかし、この判例は、単なる同意では不十分であることを明言しています。
使用者としては、労働者に対して、降格措置に伴う具体的な影響をしっかりと説明した上で、そして、それをきちんと記録に残した上で、労働者の同意を得るプロセスが重要になるでしょう。
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編集後記
こんにちは。過ごしやすい季節となりましたね。蒸し暑い夏が来る前に、お外で食事など楽しみたい気持ちです。
うららかな春を惜しむこの頃ですが、早くも2015年の半分が過ぎようとしています。
今年一年間の達成目標などを、おさらいする必要があるかもしれません。
先日友人が、読み終わったビジネス雑誌を譲ってくれました。
そこで読んだのですが、DeNAやGoogleなどのIT企業の、遺伝子検査ビジネスへの参入が注目されているようです。昨年の発表なので、ご存知の方も多いかもしれません。
「データ解析」・「予防医療」等と、インターネット・デバイスの利便性を組み合わせる目的のようです。
ユーザーが自分の健康データを蓄積し、管理していくことで、様々なサービスが展開できます。
たとえば遺伝子の研究、検査、保険、さまざまな分野に応用できそうですね。
正直なところ、SF映画の世界ようなイメージしか浮かびません。
ですが、自分がどんな遺伝子であっても長所を伸ばして、能力を高めていきたいと思いました。