本号の内容
- 岬宏美弁護士 入所のお知らせ
- 契約不成立でも損害賠償!? 契約締結上の過失
- 編集後記
■岬宏美 弁護士入所のお知らせ
2015年2月に、岬宏美弁護士が入所いたしました。
2012年に弁護士登録後は企業内弁護士として勤務した経験を持ち、必ずや皆様のご期待にお応えできるものと存じます。
所員一同改めて初心に立ち返り、気さくで温かみがありながらも、専門的なリーガルサービスを提供できる事務所として発展してまいりたいと考えております。
皆様の倍旧のご指導、ご鞭撻をお願いいたします。
■ 契約不成立でも損害賠償!?
~ ある会社からの相談 ~
「このたび、当社のホームページをリニューアルすることになり、社と作業発注について交渉を続けてきましたが、より良い条件でお願いできる業者が見つかったので、A社に契約しないと伝えました。
すると、A社から、
『そちらの希望納期に合わせるため、こちらはもう作業を始めていますよ!その分のお金を払ってください!』
と言われてしまいました。
契約もしていないのにA社が勝手にやったことですから、支払う必要なんてありませんよね?」
契約していなくても責任を問える?
契約は、申込みと承諾があってはじめて成立するものです。
しかし、実際の契約の場面では、契約締結に至るまでに、
- 発注側の求める物とそれを実現するために受注側が行う作業はどういったものか
- 費用はどうするか
- 納期をいつに設定するか
- 契約締結日はどうするか
・・などといったことを、時間をかけて交渉し、すり合わせていきます。
その中で、当事者の一方が、
契約が成立するものと期待していたのに 他方当事者が契約交渉を破棄したとき、契約交渉を破棄した当事者に損害賠償義務が課せられる場合があります。
これが、「契約締結上の過失」、その中でも特に「交渉破棄型」といわれるものです。
損害賠償が認められる要件
「契約締結上の過失」の「交渉破棄型」にあたると判断されるのは、
① 契約締結(交渉)の成熟度が高いこと
② 信義則違反と評価される帰責性があること
という2つの要件をみたすときです。
①にあたる例としては、
- 交渉が重ねられ、契約の主要な内容がほぼ合意されていたこと
- 契約書や覚書等の書面が取り交わされたこと
- 内金等が支払われていたこと
などが挙げられます。
また、②については、
- 契約締結を妨げる事情を知っていたのに、これを相手方に告げたり、契約が不成立になる危惧があることを警告することなく、交渉を継続したこと
- 契約締結の意思がないのに、締結後の履行について助言するなど締結の意思があるように誤信させたこと
- 曖昧な態度を取り続け、交渉を一方的に引き延ばしたこと
- 相手方に重大な事実誤認があるのを知りながら、それを放置したこと
- 交渉打ち切りが一方的で、打ち切られた側に落ち度がないこと
◆◇ まとめ ◇◆
冒頭に挙げた例でも、 A社との交渉の状況や、その時の対応によっては、契約締結上の過失があるとして、損害賠償義務が発生する場合もあります。
上記のような考え方を知っておけば、契約交渉時の不用意な言動によってトラブルが発生することを避けることができるかもしれません。
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編集後記
お店のウィンドウには春服や、フォーマルが並ぶようになりましたね。
新しい年度を控え、仕事やプライベートでもいろいろと準備を進めている方も多いのではないでしょうか。
我が家は、子供が幼稚園にあたる年になり、保育園での服が、私服から制服に変わります。
そんな元気な3歳児を連れて、先日「ネックス・プラザ」に行ってきました。
ネックス・プラザとは、名古屋高速道路について紹介する施設でらせん構造が特徴的な黒川出入口すぐそばにあります。
私が気に入ったのは、高速道路ができるまでのジオラマです。