VOL.14 2014/07/14 【取締役の善管注意義務とは? ~取締役と従業員では責任が大きく違います~】
本号の内容
取締役の責任と経営判断の原則
企業の(代表)取締役は、
「業務に関する意思決定及びその執行」
を本来的な職務としております。
他方、取締役は、
その職務を遂行するにあたり、会社に対して、
善良なる管理者としての注意義務を負うとされております。
そして、その注意義務の水準は、
その地位・状況にある者に通常期待される程度のものであると考えられており、
特に取締役は専門的能力を買われて選任されていることから、
期待される水準は高くなると言われております。
(その旨を示した裁判例もあります。)
よって、取締役は、会社から期待されている
注意義務に違反しないよう用心しながら業務遂行する必要があります。
取締役には非常に重い責任が課せられています
万が一、取締役が、職務遂行上任務を怠ったことにより、
会社に損害を生じさせた場合、
当該取締役は、当該損害を賠償する責任を負い、
株主代表訴訟を提起される可能性もあります。
このように、取締役は、
非常に重い責任を追及されるリスクを負いながら、職務を遂行しているわけです。
畏縮させることがないよう、バランスが大切
他方、経営に冒険は不可避であるにもかかわらず、
取締役にあまりに重い責任を負わせてしまうと、
取締役は畏縮しながら職務を遂行せざるを得なくなり、
その結果会社の経営にとってマイナスとなる可能性も考えられます。
そこで、
- 取締役に対する責任追及の要請
- 取締役に過大な責任を負わせるべきではないとの要請
のバランスを考慮し、裁判例では、
「当該状況下で事実認識・意思決定過程に不注意がなければ、
取締役には広い裁量の幅を認めるべきであり、直ちに重い法的責任を負わせるべきではない」
旨判断するものが多数存在します。
すなわち、取締役が職務を遂行する過程で会社に損害を与えた場合でも、
取締役がその責任を負わない可能性があるのです。
責任を免れるケースとは?
では、取締役が責任を負わない
「事実認識・意思決定過程に不注意がない場合」
とは具体的にどのようなケースを指すのでしょうか。
この点は、ケースバイケースになってくると思われますが、
「事実認識・意思決定過程に不注意がない場合」といえるためには、
当該取締役が、
自ら必要な調査を行ったり、
部下を通じて様々な情報を仕入れ、
十分に検討したうえで、当該業務を遂行する
ことが必要だと思われます。
法律意見書の検討も有効な手段です!
ところで、私が東京の法律事務所で企業法務の仕事に従事していた頃は、
よく依頼者様より
「取締役に事実認識や意思決定過程に問題がなかったと証明できるよう、法律意見書を作成してほしい」
旨のご依頼を受けておりました。
すなわち、弁護士作成の法律意見書を取得し、
取締役がその意見書の内容を検討しておくことにより、
当該取締役は、「事実認識・意思決定過程において十分な検討がなされた」
と評価される可能性が高まるのです。
もし、会社様にて、法律意見書の作成等が必要であれば、
当事務所に何なりとお申し付けください。
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お役に立てますので、ぜひお電話ください。
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編集後記
早いもので今年も半分が終わってしまいました。
7月に入り暑い日が続いておりますが、みなさま体調管理には十分お気を付けください。
さて、今回は前回の奈良観光の続きをお話いたします。
奈良は大仏や鹿、お寺というイメージが強いですが、遺跡もたくさんあります。
その中でも一番有名な明日香村にある石舞台古墳に行ってまいりました。
石舞台古墳は、飛鳥歴史公園内石舞台周辺地区の
中央に位置する日本最大の古墳です。
墳丘の盛土が全く残っておらず、
巨大な両袖式の横穴式石室が露呈しているという独特の形状をしていました。
誰のためのお墓かは明らかではありませんが、
7世紀初頭、大化の改新で滅ぼされた蘇我入鹿の祖父でもある
蘇我馬子の墓ではないかといわれています。
一番大きな石は77トンもあり権力の大きさがよくわかります。
こちらもパワースポットらしいので、みなさんぜひどうぞ!
近くにはたくさんの石造物がありますので、ぜひ車
(バスもありますが、少し不便ですし、レンタルサイクリングは坂道や山道なので体力に自信のない方には厳しいです)
で観光してみてはいかがでしょうか? (中野)
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