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2022年10月3日
名古屋総合法律事務所
杉浦恵一
現在の労働基準法では、原則として給料は現金で支払うことになっています。
労働基準法24条1項では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。」とされており、①通貨で支払うこと、②労働者に直接支払うこと、③全額を支払うこと(一部では不足)、が定められています。
そのため、以前は、葬儀費用や税金等のために、自分の相続分の分だけ預金の払い戻しを請求するという方法があったのですが、現在はその方法ができなくなり、何らかの理由で金銭が必要な際に、どのように対応するかの問題があります。
しかし実際には、給料を預金口座への振り込みで受け取っている方も多くいると思います。企業としても、給料を現金で準備しますと、現金の準備の手間、防犯上の問題、労働者への支払・受取の確認と、煩雑な作業が増えることになります。
そこで、労働基準法施行規則7条の2では、「使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。」とされ、その1号では、「当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み」が認められています。
これは、「労働者の同意を得た場合」という限定がつけられており、法律の建前としては、現金での支払いが原則であり、預金口座への振り込みは例外(労働者の同意がある場合)となっています。
そして現在、労働政策審議会で、給料を資金移動業者の口座へ支払うことの解禁が議論されているようです。
この「資金移動業者」とは何でしょうか。
資金決済に関する法律の2条では、「資金移動業」を、「銀行等以外の者が為替取引を業として営むこと」と定義しています。
また、「資金移動業者」を、「(資金決済に関する法律)第三十七条の登録を受けた者」と定義しています。
「為替取引」とは、簡単に言えば、直接現金を移動せずに資金を移動する依頼を受けることを指しますので、「資金移動業者」とはそういった、直接現金を移動させない形で資金の移動を行う業者のことであり、いわゆる〇〇ペイという業者も含まれるようです。
現在、労働政策審議会では、資金移動業者、つまり〇〇ペイの業者の口座に、100万円を上限として給料を支払うことが可能にするような制度変更を検討しているそうです。
これは一見便利にも思えますが、〇〇ペイというのは必ずしも現金や銀行預金口座と同じほどの利便性を有していないと思われます。
違いとしては、
①全ての店舗や支払い方法で使えるとは限らない。
現金は強制的な通用力があり、原則として受取を拒否できませんが、〇〇ペイは使えない店がたくさんありますし、家賃の支払や公共交通機関の支払にも、現時点では使えないのではないかと思われます。
このように、使い道が限られるという点が挙げられます。
②スマートフォンなど携帯端末がないと使えない。
〇〇ペイは、通常はスマートフォンやタブレットなど携帯端末がないと使えないと考えられます。
そうしますと、スマートフォン等の端末が充電切れの場合や、逆に店舗側が停電や通信障害などの場合、使えなくなります。
また、携帯端末を落としたり、紛失したような場合には、使えなくなり、再インストールなど再設定に時間がかかる可能性もあります。
③現金として引き出しにくい
預金口座であれば、現金として引き出すことは比較的簡単ですが、〇〇ペイの場合には、預金口座と異なり、どこまで現金化ができるか問題があります。
場合によっては、いったん預金口座に資金を移動させてから現金化することも考えられますが、そうすると最初から預金口座への入金でいいのではないか、という話になるのではないかと思われます。
〇〇ペイに送金することが解禁されても、現時点で預金口座がある方は、〇〇ペイへの送金は希望しない方も多いのではないかと思われます。そうすると、労働者の同意という要件が満たせないことになります。
逆に、〇〇ペイをしている業者に勤めている方は、会社から〇〇ペイへの支払の同意を求められると、実際には拒否しにくく、なし崩し的に一部で〇〇ペイへの給料支払いが始まる可能性もあります。
この制度が解禁されるかどうかは、今後の議論に注目していく必要がありそうです。
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