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2022年8月29日
名古屋総合法律事務所
今年8月1日、国税庁は所得税基本通達の改正にかかる意見募集を開始しましたが、その中に「副業収入が300万円以下の場合には事業所得ではなく雑所得に該当する」という内容の改正事項が含まれており、サイドビジネスを行っている給与所得者にとってかなり気になる改正案になっています。
雑所得に関しては、令和2年度税制改正の中で、「シェアリングエコノミー等の新分野の経済活動」に対する適正課税の確保を目的として、「雑所得を生ずべき業務」に係る手続きの見直しが行われ、令和4年分の所得税申告より適用されています。
具体的には前々年分の収入金額が300万円以下である者については現金主義による収入・費用の認識を認める一方で、前々年分の収入金額が300万円を超える者については領収書等の5年間の保存が義務付けることなど、300万円の収入金額を基準とした新たなルールが定められていました。
今回の通達改正はこの流れの中で、かねてより所得区分の判定が難しいという指摘の多かったこの「新分野の経済活動に係る所得」や「副業に係る所得」についての範囲の明確化を図るべく、公的年金等以外の雑所得を「その他雑所得」と「業務に係る雑所得」と区分した上で現行の雑所得の範囲を示す例示の見直しを行っていますが、その中で、次のとおり300万円という収入金額を事業所得と雑所得を原則的に分ける基準としても用いることとしました(改正通達案(35-2「業務に係る雑所得の例示」中の(注))。
「事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するのであるが、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない。」
すなわち、事業所得とするか雑所得とするかについて判定する際に、その所得が主たる所得でない場合で、その収入金額が300万円以下である場合は、これを雑所得として扱うことを原則とするということになります。
300万円以下の副業収入は半ば機械的に雑所得に振り分けられることとなり、納税者にとっては強引とも感じられる仕組みではありますが、昨今、副業収入のある給与所得者が増加し、その中で副業収入をあえて事業所得として申告して、①青色申告特別控除を適用する、②経費が収入を上回る場合にこれを事業損失として認識し給与所得と相殺(損益通算)する、といった節税策を過度に行うケースが見られるようになったため、これを抑制すべく講じられた策と受け止めるべきなのでしょう。
納税者間の課税の公平が保たれる、基準が明確になったため確定申告時の判断が容易になる、という観点では良いかもしれませんが、雑所得と扱われると損益通算が認められないため、起業して間もない場合に先行する費用支出が他の所得と相殺できなくなるといった弊害も想定できますし、また、「主たる所得でない」という判断をするための要素も明確ではありません。
現時点では改正案につきパブリックコメントを求めている状況ですので、内容が変わる可能性はありますが、大きな変更がなかった場合、これまで副業による収入を事業所得として申告されてきた方にとっては影響のある改正となります。
改正後の通達は令和4年分の所得税申告から適用される予定です。
なお、意見募集の期間は今月31日までとなっております。詳細は国税庁が公表している意見公募要領をご確認ください。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239211
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