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VOL.118 2022/06/20【従業員の名札とプライバシー】


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vol.118本号の内容

2022年6月20日

  • 従業員の名札とプライバシー

名古屋総合法律事務所
杉浦恵一

従業員の名札とプライバシー


はじめに

飲食店や販売員をはじめとする接客業の場合、従業員が氏名を記載した名札を付けていることが多いと思います。この名札ですが、日本では顧客に対する礼儀として、フルネーム(苗字と名前の両方)を記載していることも多いでしょう。

しかし、近年のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の広まりとともに、接客業の際にフルネームを掲示することで生じる問題が注目され始めています。

(1)SNSによる個人特定の可能性

近年のSNSの広がりによって、様々なSNSで名前を検索すると、個人の特定ができてしまう場合があります。例えば、飲食店で見た店員の名前をSNSに入力することで、同姓同名の場合は別ですが、その店員のSNSが特定されてしまう可能性もあります。

このように特定されることで、場合によってはネットストーカー(インターネット上でのつきまとい行為をすること)の被害を受ける可能性が出てきます。

ストーカー規制法の改正により、拒否をしているにもかかわらず、何度も電子メールやSNSでメッセージを送る行為は規制されることになりました。

しかし、接客業をしている場合には、積極的に拒否をすることが難しい心理になる可能性もあり、最初からSNSを特定されないにこしたことはありません。

(2)対応策

このような問題が起こることを想定し、予め対応をするのであれば、接客業の場合でも、名札に名前を記載しない(苗字のみ記載する)、あだ名・ニックネームで記載する、偽名で記載する、といったような対応が考えられます。

このような名札から生じるネットストーカー問題が、さらに大きな問題になってくると、従業員を雇う企業側には安全配慮義務がありますので、従業員の安全を図るため、最初から名札の記載にも気をつけなければならないと考えられます。

接客業の場合であっても、名札は必ずしもフルネームで記載する必要はあいません。礼儀の問題ということは、あくまで法的な問題ではありませんし、顧客との関係で名前は、その場の従業員を特定する程度の意味しかありませんので、極端な話をすれば、AやBといった記号でも支障はないはずです。

そうすると、安全の配慮のため、苗字のみにしたり、ニックネームで記載したり、敢えて偽名で記載する、といったような方法も考えられます。

(3)氏名表記が義務付けられている場合もある

ただし、一部、問題がある場合も考えられます。例えば、飲食業の食品衛生責任者は、都道府県の条例によっては、飲食店の分かりやすい場所に氏名を掲示しなければならない場合があります。その他にも法令や規則など何らかのルールによって、氏名を掲示しなければならない資格や業態があるでしょう。

このような場合には、法令等との兼ね合いがありますので、対策が難しいところです。

おわりに

技術発展や時代の移り変わりにより、これまでは想定されなかったような問題が起こってくることが予想されますので、新しい技術が出てきた場合には、それがどのような弊害も起こす可能性があるのかを、注意して考える必要がありそうです。


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