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2022年5月9日
税理士法人名古屋総合パートナーズ
最近、報道で、某ヘアカット専門店が、店舗で働いている労働者と直接は雇用契約を結ばず、会社がエリアマネージャーとの間で業務委託契約を締結し、エリアマネージャーが労働者との間で雇用契約を締結して、労働者が実際のカット業務を行っている、というニュースがありました。
会社にとって直接の雇用契約を結ばない利点としては、業務委託契約であれば解約しやすいとか、社会保険料の負担をしなくても済む、といった点が挙げられます。
ただしこの点は、労働者側からすると、働いている店舗の契約が解約されやすいとか、社会保険に加入しにくい(個人事業主の場合には従業員の人数等によって社会保険への加入義務がない場合がある)、というデメリットがあるとも言えます。
上記で報道されている事案では、エリアマネージャーに雇用された労働者が、某ヘアカット専門店に対して、同社との間で直接、雇用契約が締結されている(同社との間に直接の雇用関係がある)と主張しているとのことです。
雇用とは、民法623条で「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。」とされています。
労働関係は、労働基準法など特別法で強く規制されているのですが、雇用は一言で言えば、「労働に従事すること」、つまり使用者の指揮命令に従って使用者の業務に従事することだと言えるでしょう。
一方で、業務委託という用語は民法にはないのですが、一般的には、民法での「委任」が業務委託を指すことが多いでしょう。
民法643条は「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」としており、同法656条では「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。」とされています。
委任は、原則として法律行為をすることを委託することを指すのですが、法律行為以外の事務の委託にも委任の規定が準用されます。
そのため、業務委託とは、一般的には、法律行為ではない事務の委託を指すことが多いでしょう。
委任とは、ある事務の委託を受け、委任された事務処理をすることを指します。
雇用とは異なり、善良な管理者としての注意義務を負い、委任された本旨(趣旨、目的)に従って、委任された事務を処理する義務はありますが、事務処理の方法は原則として委任された側に委ねられ、指揮命令は受けないと考えられています。
今回の某ヘアカット専門店の場合には、会社がエリアマネージャーに業務委託し、業務委託を受けたエリアマネージャーが労働者を雇用しているという関係にあるようですので、業務委託と雇用の両方が出てくる点で、複雑な関係になっています。
形式上、業務委託となっていたり、受託者を通じて間接的な雇用関係になっていたとしても、労働関係の事件の場合には、実質的な関係を重視することがありますので、場合によっては、業務の受託者(上ではエリアマネージャー)を抜いて、会社との間に直接の雇用関係があると判断される可能性はあります。
ところで、このエリアマネージャーは、どのような業務の委託を受けていたのか、報道でははっきりしません。ヘアカット専門店なので、店舗でのヘアカット業務のみ委託を受けていたのか、それとも店舗運営全般の委託を受けていたのか、店舗は会社が借りていたのか、エリアマネージャーが借りていたのか、はっきりしない点もあります。
エリアマネージャーの権限が大きい場合には、次はフランチャイズとの区別がつかなくなってきます。
エリアマネージャーが、某ヘアカット専門店の看板を使って、実質的には自分の才覚で仕事をしているような場合には、ほぼフランチャイズとも考えられますが、フランチャイズの場合には、独立した事業者であることが前提になります。
上フランチャイズは一般的に、フランチャイズの本部から、業態の名称、看板、サービス内容、商品といったものの使用を許可され、その代わりに加盟料(ロイヤリティ)を支払うとった仕組みです。
契約形態が複雑になってくると、違う名称の契約でも、同じような面もあれば、違う面もありますので、実現したい結果を想定して、きちんと仕組みを整えることが必要でしょう。
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