皆様は、「役員」「執行役」「執行役員」の区別をきっちりと説明できるでしょうか。
似たような言葉で意外と区別がつきにくい概念なので、
一度整理しておきたいと思います。
・役員
まず「役員」とは、会社法で定義されている言葉でもあり、
「取締役、会計参与及び監査役」のことを指します(会社法第329条第1項)。
「役員」というと、取締役をイメージされる方も多いのですが、会計参与、監査役も含まれます。
また、後述する「執行役員」は「役員」には含まれませんので、
ここを混同しないよう注意する必要もあります。
・執行役
次に「執行役」とは、委員会設置会社において、
取締役会から委任された業務の執行の決定及び
業務執行を行う会社の機関をいいます。
このように「執行役」は、委員会設置会社にのみ
設置される点で少し特殊なものではありますが、
会社法上も認められている立派な法令上の機関です(会社法418条等)。
・執行役員
他方、「執行役員」とは、
委員会設置会社ではない通常の会社において
取締役に代わり業務執行を行う地位にある者をいいます。
この「執行役員」は比較的なじみが深いかと思われますが、
実はその実態をきっちりと説明できる人は少ないのではないかと感じております。
それもそのはず、「執行役員」とは上記のとおり
「取締役に代わり業務執行を行う」というとても重要な地位にある者なのですが、
会社法で定められた機関ではないため、
法令上、明確に権限や責任等が定められていないのです。
そこで、執行役員の権限、責任等は、
会社が自らの社内規程によって定めることとなります。
(このように、執行役員は会社ごとに
その権限や責任等が異なってくるため、
その実態をひとくくりにして説明することが難しいのです。)