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2020年03月08日
名古屋総合法律事務所
弁護士・税理士 杉浦 恵一
最近の報道で、大分の裁判所において、知らないうちに訴えられ、裁判が進んでいることも知らない状態で判決が出され、敗訴して預金を差し押さえられたということで、そのような被害にあった損害賠償請求が認められた、というニュースがありました。
自分の知らないうちに自分が被告になっている裁判が行われ、敗訴して預金口座を差し押さえられるなどということが、実際にあるのでしょうか。
まずは、事案の概要をみていきたいと思います(差し押さえられた当事者を「被害者」とします)。
時系列としては、2019年6月、被害者に雇われていた元従業員が、予告期間なしに解雇されたとして、熊本簡易裁判所に解雇予告手当などを請求する訴訟を起こし、同じ年の8月に約68万円の支払いを命じる判決が言い渡されたため、元従業員がこの判決に基づいて被害者の預金口座を差し押さえた、ということのようです。
この被害者は、自分の知らないところで裁判を起こされ、裁判が進み、判決が出てしまいましたが、なぜそのような事態になったのでしょうか。
まず、民事裁判を始めるには、訴状という書類を裁判所に提出し、裁判所がこの訴状を、訴えられた人のところに送り、訴えられた人が受け取ると、裁判がスタートします。
逆に、訴えられた人が訴状を受け取らないと、いつまで経っても裁判が開始されないという事態もあります。
裁判所では、このように書類を送ることを「送達」と呼んでいます。
送達は、民事訴訟法99条1項で「送達は、特別の定めがある場合を除き、郵便又は執行官によってする。」、同2項で「郵便による送達にあっては、郵便の業務に従事する者を送達をする者とする。」とされているように、郵便で送られることが多くあります。
この時、どこにいるか全く分からないということになりますと、公示送達という方法を使うことがあります。
公示送達とは、民事訴訟法111条で「公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。」とされているように、裁判所に掲示されたことで、訴えられた人に送達がされたことになります。
このような方法もありますが、住所がわかっていて、住んでいることもわかっていれば、原則として公示送達を使うことはできません。
このような場合に、訴えられた人がいつまで経っても訴状を受け取らなければ、いつまでも裁判は開始されないのでしょうか。
このような場合、「郵便書留等に付する送達」(民事訴訟法107条以下)というものがあります。
郵便は、その場で受け取らなくてもポストに入れて配達することができます。
これと同じように、どこに住んでいるかが分かれば、受け取らなくても、その住所に届けることによって、訴えられた人が受け取ることができる状態になったということで、訴状が届いたことになり、裁判が開始されます。
今回問題になっている事案では、訴えた元従業員が、被害者とは全く関係がない住所を訴状の送り先に指定し、被害者が住んでいないため訴状が戻ってきたことを裁判所から尋ねられると、「夜に電気がついている」、「水道メーターが動いている」、被害者の住民票記載の住所には誰も住んでいない、被害者の店は閉店している、などと嘘を書いた報告書を提出したという経緯のようです。
これを信じた裁判所は、実際には被害者が住んでいない住所に、郵便で訴状を送り、届いたものとして裁判を開始し、当然、被害者は知らないので出席できず、そのまま全て事実関係を認めたことになり、敗訴判決が出された、という経緯のようです。
その後、敗訴判決を基に被害者の預金口座が差し押さえられ、被害者が差し押さえられたことを知って、本件が発覚したということでした。
このように、個人宅であれば誰が住んでいるか、住んでいないのかが分かりにくいため、場合によっては裁判所も騙される可能性があります。
可能性は低いとは思われますが、このような知らないところで差し押さえがあった場合には、早急に弁護士など専門家に相談した方がいいでしょう。
次のようなご心配事がある場合は、名古屋総合リーガルグループがお役に立てますので、ぜひお電話ください。
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