厚生労働省「モデル就業規則」が改定されました行政による差押と預金口座の特定
家政婦紹介所の紹介等により個人家庭に使用されるために家事使用人として労働基準法および労災保険法が適用されない者のうち、介護サービスを供給する者(介護作業従事者)については、特別加入の制度が設けられていましたが、このたび、家事使用人のうち家事、育児等の作業に従事する者(家事支援従事者)についても、介護作業従事者と同様、労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者であるとされ、特別加入の対象になりました。
働き方改革が叫ばれるなか、個人で働く一人親方の保護は手厚くなる傾向にあります。
先月3月14日、建設資材の石綿を吸って肺がんになったとして、首都圏の元建設労働者ら354人が国と建材メーカー42社に総額約120億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が東京高裁でありました。
判決では、「一人親方」ら個人事業主への国の賠償責任を新たに認定。170人に約10億6,000万円の賠償を命じた一審・東京地裁判決を変更し、327人に約22億8,000万円を支払うよう命じました。
原告弁護団によると、一人親方を幅広く救済した判決は初めてということです。一方で判決は、メーカーの責任は一審判決と同様に否定しました。
判決は、国は遅くとも1975年以降、事業者に労働者らへの防じんマスク着用を義務づけたり、警告を表示したりすべきだったと指摘し、規制しなかったことを違法と結論づけました。
その上で、一人親方ら個人事業主をめぐる国の責任を検討し、「有害物の規制や職場環境の保全などといった労働安全衛生法の趣旨や目的は、労働者以外も保護するものだ」と指摘。
一人親方が建設現場で重要な地位を占めていたことも踏まえ、国が規制しなかったことで利益が侵害されたと判断しました。
この一人親方を救済した考え方は、これまでの判決とは大きく異なります。これまでの判決では、一人親方でも使用従属関係にあれば労働者として認められ、個別に救済されました。
しかし、今回の判決は「同法が有害物を規制するのは快適な職場環境の実現が目的で、労働者以外も保護するものだ」と指摘。労災保険に特別加入制度があることなどを考慮して、一人親方にも国家賠償法上の権利があるとしました。
労働者かどうかに関わらず救済の道が開かれるようになった、画期的な判決といえます。