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賠償額の予定

賠償額の予定

・契約書等を作成する際、契約で定められた条項に違反した場合に、一定の金額を契約の相手方に支払うという形で違約金についての条項を定めることがあります。

民法420条は、1項で「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。」、3項で「違約金は、賠償額の予定と推定する。」とそれぞれ規定しています。

賠償額の予定とは、一方契約当事者の債務不履行によって相手方に生じた損害賠償の額をあらかじめ定めておくことをいいます。
損害賠償額を予定しておくと、万が一債務不履行によって損害が生じたときに、損害賠償額を立証することなく、予定していた金額を請求することができるのです。

違約金条項を定めた場合、その条項は賠償額の予定条項であると推定されるので、相手方が違約金条項に該当する違反行為を行った場合には、その金額を、損害賠償額の立証をすることなく請求できることになります。

・しかし、その反面、賠償額の予定がある場合には、当該予定額を超える金額については原則として請求することができないことに注意が必要です。

賠償額を予定する条項を作成する場合には、当該債務不履行によって生じる損害をできるだけ正確に予測しておくことが望ましいですが、当然限界もあります。
実際に生じた額については別途請求できるような条項を設定しておくことも検討しておくべきでしょう。

・また、違約金条項を賠償額の予定以外の目的で定める場合にも注意が必要です。
例えば、ある条項に違反した場合に、損害賠償とは別で、違約したことによる金銭を支払うこと(違約罰)を定めようとする場合でも、契約書上単に違約金と記載してあれば、民法420条3項により賠償額の予定と推定されてしまい、推定を覆すことができなければ、当該違約金の金額しか請求できなくなる可能性があります。
違約罰の趣旨で定める場合には、その旨を契約当事者間で確認し、そのことを明確にしておくことが望ましいでしょう。

・なお、労働基準法16条や、消費者契約法9条、宅建業法38条等、個別の法律で賠償額の予定について制限が設けられていることもあるので、この点についても注意が必要です。

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