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VOL.32 2015/05/07 【利息・損害金と平成27年3月4日の最高裁判例】


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vol.32 本号の内容

2015年5月7日
                          
  • 利息・損害金と平成27年3月4日の最高裁判例
  • 編集後記

■利息・損害金と平成27年3月4日の最高裁判例

弁護士 杉浦 恵一

今年の3月4日、最高裁判所で、労災給付と損害賠償の充当に関する判決が出されました。

 どのような内容が争われたかと言いますと、過労死で損害賠償金が支払われる場合に、労災保険からも給付金が支払われているとき、労災給付金は損害賠償の元本と利息(遅延損害金)のどちらが先に支払われるか、という内容です。

元金と利息(遅延損害金)のどちらが先に支払われるかですが、過労死など人の生死が問題になるような場合、元金が必然的に大きくなり、それに伴って利息(遅延損害金)も大きくなってしまいます。

 一般論として、民法491条では、「債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済する者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。」とされています。

 そのため、原則としては、費用を全て支払うと次は利息に充当され、利息が全て支払われると、最後に元本に充当される、ということになります。

 そして、労働災害の場合、利息(遅延損害金)は、労働災害が発生したときから生じます。

 また、元本がなくなるまで、利息(遅延損害金)は発生し続けるということになります。

 利息(遅延損害金)が残っている・発生していると、元本がなかなか減らない場合がります。クレジットカードのリボルビング払いで、元本がなかなか減らず、返済期間が長くなってしまうのは、これと同じ理屈です。

最高裁の判決は?

さて、上に挙げた事例では、遺族補償年金が支払われた場合に、それを本来の損害賠償の元本から先に充当するか、民法の順番で遅延損害金に先に充当するかが争われた事案ですが、最高裁判所判決は、遺族補償年金は、遺族が扶養を受ける利益を失ったことへの補填が目的であり、性質が同じである賠償額の元本から先に差し引くべきだとの判断をしました。

 遅延損害金の発生を考えると、使用者側に有利な判決ではあります。

まとめ

このような労働災害において使用者が支払うべき賠償額は、過失相殺の問題や逸失利益の問題などがあるため、算定することが簡単ではないため、払い過ぎにならないように慎重になって支払いが遅くなってしまう場合もあります。

 使用者側に有利な判決ではありますが、労働災害の場合、感情面などで争いが激化してしまう場合もあるため、労災給付が元本から差し引かれるとしても、迅速な対応は必要なことに変わりはないと考えられます。


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編集後記

若葉の緑がまぶしい季節になりました。早くも日差しが夏めいた朝は、丸の内でも日傘の女性をたくさん見かけました。

ゴールデンウィークには様々な催しが企画されていたのではと思います。

私が特に訪れたいと思っている催しは、名古屋松坂屋の「ムーミン」原画展です。

 今年はムーミンの作家トーベ・ヤンソン女史の生誕100周年の年で、たくさんの貴重な原画が日本にやってきているのです。

 神奈川県に住んでいる友人が、昨年横浜で「ムーミン展」を見て、これは素晴らしいというので私に勧めてくれたのです。友人曰く「展示の量が多すぎて閉館時間に間に合わなかった」というこの展覧会が名古屋にやってくるのをとても楽しみにしておりました。

「この時を何ヶ月待ったことか」と、数えてみようと思いたち、松坂屋で開催されている「ムーミン展」の巡回スケジュールを見てみました。

、、ところが。奇妙なことに何度読み返してもスケジュールには横浜が入っていないのです。
友人は一体どうして横浜で展示を見られたのというのでしょうか。

不思議に思って調べてみましたところ、なんと、「生誕100年 トーベ・ヤンソン展」という同様の大回顧展が、別の主催者の企画で違うルートで日本を巡回していたのです。

というわけで謎が解けたのでした。

 それにしても、何百点もの膨大な原画が一年間もの間日本国内に留まっているとは、本家のフィンランドには展示する原画が残っているのかしらと心配になるほどです。
日本人のムーミン愛というのは世界でも群を抜いているのだなぁと感慨深く思いました。

「生誕100年 トーベ・ヤンソン展」の方は残念ながら名古屋には巡回しませんが、7月に大阪で開催される模様です。

この機会に両方の展示を訪れたいなと思いました。

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