契約ルールの変更点でまず見落とせないのは法定利率の変更です。
現在の民法は、法定利率について、「年5%の固定金利」と定められておりますが、改正案では「まず3%とし、3年ごとに1%刻みで見直す」との変動制が盛り込まれました。
法制審議会の民法部会は、8月26日、消費者や企業の契約ルールを定める債権法の改正原案をまとめました。
民法の抜本改正は、1896年の制定以来初めてで、長引く低金利やネット取引の普及などを踏まえ、消費者保護に軸足を置いた見直しとなっております。
現在の民法は、法定利率について、「年5%の固定金利」と定められておりますが、改正案では「まず3%とし、3年ごとに1%刻みで見直す」との変動制が盛り込まれました。
今後、契約書を作成する際は、上記法定利率を踏まえた内容を意識する必要がありそうです。
(また、このように法定利率が引き下げられると、交通事故の損害賠償額の算定の際「生きていたと想定される期間に見積れる運用益」が少なくなるため、交通事故の被害者に支払う損害賠償額の増額につながるといわれております。その結果、自動車保険などの保険料の引き上げも予想されるところです。)
現在の民法では飲食代なら1年、弁護士費用なら2年などと、その期間がバラバラに規定されておりますが、これらについては、5年に統一されることとなりました。
よって、飲食代でも、これまで1年前までしか請求できなかったツケが、5年前のものまで請求できることになります。
現在、中小企業への融資では、契約に詳しくない経営者の家族らが連帯保証人となり、多額の借金を背負って生活の破たんに追い込まれるケースも少なくありません。 しかし、改正案では、家族ら経営者以外の 第三者が個人で保証人になる際は、公証人が立ち会い、自発的な意思を確認することを条件としました。
これにより、契約者の家族が安易に保証人になることを防げることとなります。しかし、一方でこのような規制がなされると、融資の条件が厳しくなることも危惧されるところです。
その他、売買の目的物に欠陥があった場合における責任の追及方法として、現行法は損害賠償請求と契約の解除が定められておりますが、改正案ではこれらに加え、目的物の修理や代金減額請求も明記される見込みです。
民法が改正されると、契約のルールもいろいろと変わり、契約書もその改正内容を踏まえた内容に修正する必要があります。
皆様も改正の内容には注意すべきでしょう。
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