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2023年12月25日
税理士法人 名古屋総合パートナーズ
2023年は消費税インボイス制度が開始となり、かなりの混乱も生じたこともあって、世相を表す「今年の漢字」に「税」が選ばれるほど、税をめぐって何とも慌ただしい一年となりました。
これを締めくくるかのように、今月14日に政府・与党より令和6年度税制改正大綱が公表されました。
今回はデフレ脱却と賃上げの定着を目指し、所得税の定額減税を始め、賃上げに伴う税額控除の拡充、子育て世帯向けの減税措置などが盛り込まれる内容となっております。
改正事項の中で注目されるのは、やはり所得税の定額減税の実施になります。
この定額減税は、居住者である納税義務者の令和6年分の所得税額より、本人、同一生計配偶者および扶養家族一人につき3万円を、同じく住民税額より一人につき1万円をそれぞれ控除するかたちで行われます。
ただし、令和6年分の合計所得金額が1,805万円を超える者(給与収入であれば2,000万円を超える者)については対象となりません。
この控除は、給与所得者については、令和6年6月1日以降に支給される給与および賞与にかかる源泉徴収税額から控除される方法で行われます。もし6月支給の給与より全額が控除できない場合は、それ以降に支給される給与および賞与から順次控除されることとなります。
また住民税については、令和6年6月に支給する給与からの徴収を行わず、上記控除額を差し引いた後の税額を11等分し、これを令和6年7月から令和7年5月までに支給される給与より徴収することにより、控除が実施されます。
住民税は、市町村より届けられる特別徴収税額決定通知書の記載どおりに毎月徴収するという方法に変わりはないので特に混乱はないかと思いますが、所得税は給与支払者(源泉徴収義務者)に、従業員ごとに控除しきれなかった(次月に繰り越す)控除額を管理しなければならないといった負担がかかることになりそうです。
なお、個人事業主については、所得税は第1期分予定納税(7月末)より、住民税は第1期分(6月末)の普通徴収納付額よりそれぞれ控除され、控除しきれない部分については第2期分より(住民税は第2期分以降順次)控除されることになります。
減税分を控除した後の納付書が税務署および市町村から届けられるのであれば分かり易いのですが、給与所得者である一方で事業所得も申告している納税者の存在を考えると、どのような取り扱いになるか現時点では何とも言えません。詳細につきましては、この後公表される情報をご確認ください。(大綱の中でも、財務省と国税庁は法案提出前であっても制度の詳細についてできる限り早急に公表し周知広報を行うことが謳われております。)
ところで、今回の税制改正大綱の中で、相続税関連の大きな改正事項は盛り込まれませんでした。
ただ、前年度の大綱に盛り込まれず、今年いっぱいで終了になるのではと話題になっておりました住宅取得等資金にかかる贈与の非課税措置ですが、今回の大綱の中で3年の延長が決まりました。法律になるのは来年3月になるかと思われますが、令和6年1月1日以後に行われる贈与より適用される旨が大綱の中で明示されております。
税制調査会で検討されておりました、高校生世代の扶養控除の縮小は、令和7年度の税制改正の中で令和8年分からの適用が決定される見込みです。また、23歳未満の扶養親族を対象とした生命保険料控除の限度額引上げも次年度に持ち越されております。
これらの措置の具体的内容は、次年度の税制改正大綱が公表される際に改めてご確認いただければと思います。
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