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2021年07月20日
名古屋総合法律事務所
社会保険労務士 増田友子
昨今、「副業・副業」に対する関心が高まっているようです。
従来まで聞きなれていた雇用形態である正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣、請負、単発ワークに加え、ギグワーク、クラウドソーシングという新しい形態の働き方が出現しているようです。
労使双方の「副業・兼業」需要の高まりとともに、「副業・兼業」を取り次ぐ業態の事業者の数も増え、いわゆるマッチングサイトから、スマホ一つで「副業・兼業」を簡単に探すこともできるようです。
「在宅ワーク」「テレワーク」が急速に広がり、働く場所に拘束されない勤務形態が特殊なものでなくなったということも、兼業・副業に関心が高まっている一つの要因なのかもしれません。
政府としても、以下の流れで政策として「副業・兼業」を後押ししています。
さて、「副業・兼業」をするにあたっては、様々な観点からの考察が必要であると考えられます。
この中から、今回は社労士の立場から雇用保険の適用について、Q&A方式でお伝えします。
Q1
そもそも、雇用保険の加入にはどのような条件があるのですか?
A1
保険の被保険者になる(加入する)には、原則として以下の2つの条件を満たす必要があります。
Q2
事業主に同時に雇用されている場合、雇用保険の加入はどうなりますか?
A2
生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている1つの事業主のもとでのみ、被保険者となります。
その場合も、被保険者となる事業所において、A1でご説明した2つの要件を満たしている必要があります。
例えば、〇会社(週の所定労働時間13時間)、△会社(週の所定労働時間18時間)という複数事業所での勤務をしている方は、〇会社、△会社いずれの事業所においても、雇用保険被保険者となることはできません。
〇会社△会社の週の所定労働時間を合算したら31時間となるから、被保険者になるという方法は、今現在設けられておりません。
Q3
複数事業主に同時に雇用されていますが、そのうち雇用保険に加入していた事業主との雇用契約が終了した場合、その他の仕事は継続中ですが、失業給付は受けられますか?
A3
失業給付は、再就職を目指す方を支援する制度であるため、「就職したいという積極的な意思」、「いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)」があり、「積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態にある方」が対象とされています。
よって、就職・就労中の方(試用期間を含む)、パート・アルバイト中の方(週あたりの労働時間が20時間未満の場合、申告が必要になりますが、失業している日について、支給を受けられる場合があります。)は失業給付を受けられません。
雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第 14 号)により、高年齢被保険者の特例(※)に関する規定が令和4年1月1日から施行され、同日より、65歳以上の兼業・副業者についてのみ、次のすべての要件を満たした場合には雇用保険の被保険者となります。
(※)複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者について、本人の申出に基づき、雇用保険の高年齢被保険者となることができることとするもの
詳しくはコチラ
上記を要約しますと、2022年1月1日からは、65歳以上の兼業・副業をする方(2つ以上の雇用保険適用事業所で雇用される方)に限り、本業先の1週間の所定労働時間と副業先の1週間の所定労働時間を合算し、週の所定労働時間が20時間以上となる場合は、本業先と副業先の両方で雇用保険の被保険者となるということです。
合算できる事業所の数は2つまでであり、3つ以上の事業所を合算して20時間以上となってもこの要件を満たさないことに注意が必要です。
また、この65歳以上の兼業・副業者の雇用保険の適用については、あくまで労働者からの申し出により手続きを行うことになっています。上記要件を満たせば自動的に被保険者となるわけではありません。
事業主は、65歳以上の労働者がこの申し出をしたことを理由として、当該労働者に解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないこととされており、くれぐれも注意が必要です。
例えば、〇会社(週の所定労働時間14時間)、△会社(週の所定労働時間10時間)の65歳以上の労働者が、厚生労働大臣(実際には、当該労働者の住居地を管轄するハローワーク)に申し出ることで、その申し出日に「高年齢被保険者」となることができる、とされています。
やがて〇会社を離職した場合は、△会社だけの雇用関係となり、〇会社で支払われていた賃金額を基礎として失業給付が行われ、△会社のみでは、雇用保険加入要件である週の所定労働時間が20時間以上、を満たさなくなるため、以後、被保険者資格を喪失し保険料徴収は行わない、とされています。
上記法改正は、労働者本人の申し出によるものであることから、急速に周知、適用拡大しないようにも思われますが、高年齢者層においては、複数事業所で雇用される働き方(いわゆる副業・兼業など2か所以上の事業所で働くスタイル)の割合が相対的に高い、とされています。
つまり、この法改正は、雇用保険制度が副業・兼業を行う労働者に対し、どのように雇用保険制度を適用していくのかという、いわば試金石となることと思われます。
やがては、全年齢層に適用拡大されていくことも考えられ、今後の法改正にも注意が必要でしょう。
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