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請求書買い取りサービスにご注意
「中小企業の資金繰り変革」
2020年1月20日の日本経済新聞で、「中小企業の資金繰り変革」として、請求書買い取りサービスの紹介がされておりました。
請求書買い取りサービスとは、その名のとおり請求書という紙を買い取るのではなく、企業の売掛金を基にして金銭を融通する、というサービスのようです。
紹介されている会社では、請求書買い取りサービスとして、
- ① 中小企業が取引先に対して、商品を納品し、またはサービスを提供し、請求書を発行する。
- ② 中小企業が、請求書買い取りサービス会社に、請求書を売却する。
- ③ 請求書買い取りサービス会社から中小企業に対して、売却した請求書分の代金を早期支払い。(ただし手数料などが引かれるのかどうか不明)
- ④ 取引先から中小企業に対して支払い。(売却した請求書に基づくと思われる)
- ⑤ 取引先から支払いを受けた中小企業が、請求書買い取りサービス会社に対して、支払いをする。
という流れが説明されていました。
請求書買い取りサービスとは
このような請求書買い取りサービスは、金融とITを融合させるフィンテックサービスであり、AIを利用し、対面でのやりとりを省いて、短時間で資金が提供されるメリットがあるということです。
また、この請求書買い取りサービスにかかる手数料は、低いと1 % であり、9 % くらいまでは設定されていて、銀行などの金融機関の一般的な融資で用いられる金利よりも高いという説明はなされておりました。
一見して、1から9 % という手数料率だけ見ますと、必ずしも高くはないように見えますが、期間という観点もあわせて考える必要があります。金融機関の融資は、一年間で何 % という年率で考えますので、1日であれば、年率の365分の1として計算するのが標準です。そうしますと、仮に年 5 % の利率がかかる場合、1か月(12分の1)であれば0.4 % くらいと計算されます(※早期返済の場合の違約金などは考慮せず)。
請求書買い取りサービスのデメリット
請求書買い取りサービスの場合、手数料が1から9 % ということであっても、流れの説明を見ますと、最終的には請求書買い取りサービス会社に支払い(返済)をしなければならないようです。
一般的な会社の場合には、請求書発行から支払い期限まで1,2か月程度が多いとは思いますので、仮に1か月後に支払い(返済)しなければならない場合で計算しますと、年利換算では12から108 %になります。(※単純に1か月を12か月に換算して、手数料率を12倍した場合)
利息制限法は、100万円以上の借金の場合、年間の利息を15 % までとしていますので、請求書買い取りサービスの利用料率は、金融機関から借りる場合に比べて相当に高額になってしまう可能性があります。
請求書買い取りサービスの実際
前記の①から⑤の流れを見ますと、実際には請求書(に表示された債権)を買い取るのではなく、請求書に表示された債権を担保にして、金銭を借り入れ、手数料名目で利息を支払って、取引先から入金されたら返済する、という債権を担保にした金銭消費貸借(借金)ではないかと思われます。
このような仕組みの場合、請求書を売った場合で、取引先から入金がなくても返済しなければならないのか、請求書買い取りサービスの会社が、請求書を買い取った以上は自分で取引先に対して請求をするのか、そのような点もきちんと確認する必要があるでしょう。
請求書買い取りサービスに対する批判
このようなサービスは、従来、「ファクタリング」と呼ばれていましたが、こういったサービスを利用する中小企業は、資金繰りに困っているところが多く、売掛金を担保に運転資金を借り、その返済をするとまた資金繰りに困るので、次のファクタリングをしてしまう、ということを繰り返す。
結果として手数料分は売り上げが減ることにつながり、最後は必要な費用も支払えなくなって事業に行き詰まる、ということが散見されましたし、利息制限法違反ではないかという批判も見られました。
まとめ
このようなサービスを利用する際には、どのような内容の契約なのか十分に確認する必要がありますし、ファクタリングを利用して手数料を支払っても、将来の資金繰りに問題がないか、よく確認する必要があるでしょう。