行政による差押と預金口座の特定株式会社は有限責任でも役員は責任を負う可能性あり
労働者側の法律事務所だけでなく、企業側の法律事務所でも、退職にまつわる相談が後を絶ちません。昔と比べて転職への抵抗も減っている背景もあり、企業としては、今後、解雇だけでなく、自主退職を希望する社員への対応も課題となっています。
このような背景もあいまって、最近では「退職代行サービス」が注目を集めています。これは、退職を希望する社員と雇用主との間に入って、退職の手続を代行する、というサービスを提供しているそうです。労働者にとっては、お金を払えば何もせずに退職まで話をつけてくれるというもので、気軽さもあり、今後、利用も増えていくかもしれません。
このようなサービスですが、企業側は警戒すべき点がいくつかあります。
まず、いかにも法律的に筋が通っているように見えて、実際は法的に成り立たない主張を展開している可能性もあります。実際に、「知り合いの専門家に作ってもらった」という退職者の書面の中には、法律的に間違っているものが散見されます。
また、少なくとも、弁護士資格なしに、法律上の権利義務に関し争いが予想される案件につき、交渉に限らず、文書の作成や発送を代行することは、弁護士法違反となりますし、代理行為も無効となりかねません。
うっかり非資格者を相手に話を進めてしまうと、話し合いが進むと「これ以上は取り扱うことができません」ということになりかねませんし、悪質な業者であれば、合意まで話を進めてしまい、後で無効ということになるリスクもあります。
そのため、私物の撤去や退職届の受領など、ごく機械的な処理については問題ありませんが、退職にあたって金銭の支払が発生するような場面や、退職にともなって契約上の権利義務が発生するような場面では、そのまま話を進めることにはリスクがあります。
退職代行サービスにどこまで対応したらいいか、ケースバイケースの判断が必要となります。疑問に思うことがありましたら、お気軽に弁護士にご相談ください。