社会保険労務士 岡田 恵子
家庭の事情があるときでも社員を転勤させることができるのか?従業員の自殺と貸主に対する責任
社会保険労務士 岡田 恵子
厚生労働省の有識者検討会が、今月3日、公共職業安定所(ハローワーク)や民間の職業紹介事業者に、労働条件を偽った求人を出した企業と幹部に対し、懲役刑を含む罰則を設けるべきとする報告書をまとめました。
この罰則には懲役刑も含むものとされており、また、これまで規制のなかった求人情報提供事業者(求人雑誌等)についても、労働条件の明示義務等のルールを定めることが必要だとされています。
現在、企業が自社のホームページ等で虚偽の労働条件を掲載し、直接採用した場合には罰則(6月以下の懲役または30万円以下の罰金)の適用がありますが、ハローワーク等に虚偽の求人を出しても罰則はありません(ただし、是正指導が行われることはあります)。
今秋以降の労働政策審議会で議論を本格化させ、職業安定法の改正を目指すようです。
厚生労働省によると、ハローワークの求人票に関する苦情・相談は、平成27年度は1万937件と、前年度よりは10%ほど減少しましたが、調査が始まった平成24年度の調査開始からみると増加傾向にあります。賃金をめぐるトラブルが最多で、就業時間や職種・仕事内容のトラブルも目立ちます。
また、「求人票の内容が実際の労働条件と異なる」ことを要因とした相談等は3,926件(36%)あり、次いで「求人者の説明不足」が2,540件(23%)で、これらで約6割を占めています。
中には、こうしたトラブルが訴訟に発展するケースもあるようです。
求人票やハローワークのインターネットサイトに掲載される情報のもととなる「求人申込書」の記載については、別の注意点もあります。全般的な書き方については冊子でまとめられていますが、これとは別にこのほど「固定残業代の表示」に関するパンフレットが公表されました。
求人申込書の賃金欄について 、固定残業代を採用する場合は
・固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
・固定残業代を除外した基本給の額
・固定残業時間を超える時間外労働
・休日労働および深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと
などを明示することが必要であり、基本給には固定残業代などの各種手当は含めない等の留意点が記載されています。
ブラック企業とのレッテルを貼られることのないよう求人情報の記載には注意が必要です。