本号の内容
- 他社の規約をパクると著作権侵害!?
- NHK名古屋放送局のドラマ「全力離婚相談」の制作に協力しています
- 編集後記
■他社の規約をパクると著作権侵害!?
著作権法上の著作物性が肯定される要件の1つに、「思想・感情の表現であること」が挙げられます。
そして、その要件との関係で、『契約書は著作物ではないため、著作権では保護されない』というのは有名な話です。
契約書についての法的理論を見てみましょう
契約書が著作権で保護されない理由として、東大名誉教授の中山信弘先生は以下のとおり説明されております。
「これらは・・・人為的に作成されたものであるため、何がしかの『人の考えや気持ち』が現れているとも言えよう。
ただ、人為的とはいっても、業務において通常用いられるものを通常の表現で用いたにすぎない場合が多く、
その記載事項は、
法令や慣行に規制されているもの、利便性という観点から業務を遂行する上で通常用いられるもの、あるいは用いざるをえないものも多い。
そのために、そのような証券、契約書案、ブランク・フォーマット等は大同小異のものとならざるをえないことも多く、たまたま最初に作成した者に長期間の独占を認めることの弊害は大きく、著作物性を否定すべき場合も多い。
その理論構成としては、そのようなものには、規範的意味での思想・感情が現れていないと解釈することもできようし、また選択の幅が狭いために創作性の問題として処理することも可能である。」
(同教授著『著作権法』有斐閣、2007年)
規約の著作物性が認められた画期的な判決
そのような理解が通説とされる中、取引の「規約」について、正面から著作物性を肯定し、著作権侵害を認めるという判決が出されました
(東京地判平成26年7月30日(H25(ワ)第28434号))
規約は、一般的に当事者間の契約内容を規定していると評価されているため、今回の判決は画期的だと言えます。
同判決の判旨を見ると、
「通常の規約であればありふれた表現として著作物性が否定される場合が多い」
旨前置きをした後、以下のとおり判示しております。
「しかしながら、規約であることから、当然に著作物性がないと断ずることは相当ではなく、その規約の表現に全体として作成者の個性が表れているような特別な場合には、当該規約全体について、これを創作的な表現と認め、著作物として保護すべき場合もあり得るものと解するのが相当というべきである。」
「これを本件についてみるに、原告規約文言は、疑義が生じないよう同一の事項を多面的な角度から繰り返し記述するなどしている点・・・において、原告の個性が表れていると認められ、その限りで特徴的な表現がされているというべきであるから、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)、すなわち著作物と認めるのが相当というべきである。」
「そして、被告規約文言全体についてみると、見出しの項目、各項目に掲げられた表現、記載順序などは、すべて原告規約文言と同一であるか、実質的に同一であると認められる(表現上異なる点として、原告規約文言の「当社」が
被告規約文言では「当店」にすべて置き換えられている点、助詞の使い方の違い、記載順序を一部入れ替えている箇所、表現をまとめている箇所・・・などがあるが、これらは、極めて些細な相違点にすぎず、全体として実質的に同一と解するのが相当である。また、原告規約文言と被告規約文言の相違点が上記のとおりであることは、被告が、原告規約文言に依拠して、被告規約文言を作成したことを強く推認させる事情というべきである。)。
したがって、被告は、被告規約文言を作成したことにより、原告規約文言を複製したものというべきである。」
◆◇ まとめ ◇◆
このように、他社の規約を丸パクリするのはもちろんの事、ちょっと修正して使っても著作権法違反となり得ますので、皆様もご注意ください。
(ちなみに、上記判決は損害賠償額を5万円としておりました。)
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編集後記
昨晩の皆既月食、ご覧になりましたでしょうか?
私も自宅付近にて、雲の切れ間から鑑賞することができました。暗く赤みを帯びた色の月は、不思議な感じでした。
今年は、3回もスーパームーン(月と地球の距離が近くなり、通常より大きな満月)が見られたり、月に関する特別な日が多い年となっています。
次に控えているのは、「後(のち)の十三夜」。
お月見は、十五夜(中秋の名月)だけでなく十三夜がありますが、今年は暦の関係で、「後の十三夜」が11月5日に訪れます。
前回、後の十三夜があったのは1843年のため、なんと171年ぶりだそうです。
・・・と聞くと、なんだかありがたい満月な気がしてきますが、
それを置いといても、秋の月は本当に綺麗で月見酒もいいですね!
私は、赤いエビスビールが出てくると秋を感じます(笑)