本号の内容
- 4月1日からパートタイム労働者の扱いが変わります!
- 事務所報第5号を発行しました
- 編集後記
■4月1日からパートタイム労働者の扱いが変わります
改正パートタイム労働法(以下「新法」といいます)が平成26年4月16日に成立し、平成27年4月1日から施行・適用されます。
パートタイム労働者を雇い入れている事業主の方々にとっては要注目の法改正です。
主な改正のポイントは次の3点です。
- パートタイム労働者の差別的取扱いの制限の強化
- パートタイム労働者に対する事業主の説明義務の強化
- 法律に違反した事業主に対する制裁の強化
差別的取扱いの制限が強化されます
まず、改正のポイントの1点目について、具体的には以下のような規定が新設されます。
⑴正社員との差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の範囲の拡大(新法第9条)
現行法において、正社員と差別的取扱い(賃金の額、各種手当・教育訓練の有無、福利厚生施設の利用の可否など)が禁止されるパートタイム労働者は次の3つの要件を満たしている労働者です。
- 職務の内容が正社員と同一
- 人材活用の仕組みが正社員と同一(転勤の有無や範囲、職務内容・配置の変更の有無や範囲などが正社員と同一)
- 無期労働契約を締結している
一方、新法においては、パートタイム労働者が上記1,2に該当すれば、有期契約労働者であっても、正社員との差別的取扱いが禁止されます。
例えば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者が、職務の内容も人材活用の仕組みも正社員と同じであるにもかかわらず、正社員には支給されている各種手当が支給対象となっていない場合には、4月1日の新法施行後は正社員と同様に支給対象とする必要があります。
⑵パートタイム労働者の不合理な取扱いを禁じる指針の新設(新法第8条)
上記⑴1,2の要件を満たさないパートタイム労働者に対しては、新法第9条は適用されないため、正社員と全く同じ扱いをする必要はありません。
しかし、新法第8条により、①②の要件を満たさないパートタイム労働者であっても、正社員と待遇を相違させる場合は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、相違の程度が不合理になってはならないこととなります。
説明義務が強化されます
次に、改正のポイントの2点目について、具体的には以下のような規定が新設されます。
パートタイム労働者を雇い入れたときは、事業主は、実施する雇用管理の改善措置(パートタイム労働者の雇用環境の向上のためにとっている措置)について説明する必要があります。
具体的には
- 賃金制度はどうなっているか
- どのような教育訓練があるか
- どの福利厚生施設が利用できるか
- どのような正社員転換推進措置があるか
などを説明する必要があります。
現行法においても、事業主は、パートタイム労働者から、賃金の決定基準や、教育訓練・福利厚生施設が使えない場合はその理由、正社員への転換推進措置の決定に当たり何を考慮したかなどについて説明を求められた場合は、説明する義務が定められていますが(新法においては第14条第2項に同様の規定)、労働者としては、雇い入れ時にこそ賃金制度等を知りたいのであり、雇い入れ時の説明義務が新設されました。
⑵説明を求めたことによる不利益取扱いの禁止(指針第3の3の⑵)
パートタイム労働者が、新法第14条第2項に基づく説明を求めたことを理由に、事業主が不利益な取扱いをすることが禁止されます。
⑶パートタイム労働者からの相談に対応するための体制整備の義務の新設(新法第16条)
例えば、相談担当者を決めて対応させる、事業主自身が相談担当者となり対応するなどの体制を整備することが必要になります。
この点と関連して、パートタイム労働者を雇い入れたときに、事業主が文書の交付などにより明示しなければならない事項として、現行法では、「昇給」「賞与」「退職手当の有無」について規定されていますが、これに「相談窓口」が追加されます。
実効性を高めるために、違反した場合の制裁が強化されます
最後に、改正のポイントの3点目ですが、以下の規定が新設されます。
⑴厚生労働大臣の勧告に従わない事業主の公表制度(新法第18条第2項)
事業主がパートタイム労働者の雇用管理の改善を図るための厚生労働大臣による是正の勧告に従わなかった場合に、厚生労働大臣は、この事業主名を公表できることとなりました。
⑵虚偽の報告などをした事業主に対する過料(新法第30条)
事業主が、パートタイム労働法の規定に基づく報告を怠ったり、虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料に処せられます。
◆◇ まとめ ◇◆
新法では、パートタイム労働者の保護が手厚くなり、事業主の義務が重くなったので、パートタイム労働者を雇用する事業主の方々はご注意ください。
次のようなご心配事がある場合は、名古屋総合リーガルグループがお役に立てますので、ぜひお電話ください。
顧問契約をしていただいているお客様は無料でご相談いただけます。
- 労務問題が心配なので、雇用契約書と就業規則について相談したい。
- 従業員を解雇しなければならないが、どのようにしたらよいのか。
- 従業員から残業代を請求されて困っている。
- お客様・営業先からクレームを受けて困っている。
- 契約書を作ったのでチェックしてほしい。
- 取引先から契約書をもらったが、不利なものでないか不安だ。
- ネット上で悪い評判を書かれて困っている。
- 売掛金を回収したい。
- 新しい事業を考えているが法的に気をつけるべき点を相談したい。
当事務所のご相談受付はこちらです。お気軽にお問合せ下さい。
⇒ ご相談のご予約 052-231-2601
または、メールフォームからお願いいたします。
弁護士法人名古屋総合法律事務所および税理士法人名古屋総合パートナーズはともに経営革新等支援機関に認定されています。
名古屋総合リーガルグループでは、中小・中堅企業の実情も十分考慮した上で、企業が抱える労務問題、取引先や顧客からのクレーム・トラブル、著作権侵害などのリスクから会社を守る方法を提案しています。
残業代やセクハラ、解雇やうつ病などの労務問題に頭を抱えていらっしゃる経営者様も多いと思います。
多くの問題は、法律の知識をもって対策をしておくことで未然に予防することができます。
顧問契約等の制度を利用していただければ、わざわざ来所していただかなくても電話やメールで気軽に相談していただくことができます。
ぜひ下記からお気軽にご連絡下さい。
▼法人様向けホームページはこちら
https://www.nagoyasogo-kigyo.com/
▼私たちが企業法務で選ばれる理由
https://www.nagoyasogo-kigyo.com/reason/
▼顧問契約をお考えの方はこちら
https://www.nagoyasogo-kigyo.com/general-counsel/
■ 事務所報第5号発行のお知らせ
事務所報「地域との共生 地域への貢献」第5号を発行いたしました。HPより紙面をご覧いただけます。
https://nagoyasogo.jp/pdf/newsletter/newsletter05.pdf
編集後記
立春も過ぎましたが、まだまだ寒い日が続きますね。
皆さま、お変りはないでしょうか?
先月1月30日に、所員一同、事務所を離れ会議を行ってきました。
会場は、名古屋地方裁判所岡崎支部に隣接する弁護士会館の会議室をお借りし、実施しました。
弊所では、年2回、こうした会議の日を設けて経営方針、グループ・個人の目標などを共有しています。
会議の後は、岡崎支部の見学し、昼食を岡崎城にある八千代本店で頂きました。
私は、八丁味噌が使われた豆腐の田楽は初めて頂いたのですが地元出身のスタッフからは、昔は家庭でも焼く道具があり作っていたと伺いました。
あいにく天気は雨だったのですが、最後に岡崎城を全員で見学し、楽しみました。